柏市で自己破産をするには?その流れ
- 2018.06.19
- 自己破産
柏市在住の方が、自己破産手続きをする際の流れについて、自己破産手続きとは何か、自己破産するとどうなるのか、申立人の行うこと、申立て書類には何があるか、申立先はどこか、弁護士を使うメリットは何かなど、わかりやすく解説します。
自己破産手続きとは?
自己破産という制度は、支払不能の状態の債務者に対し、裁判所が公的な立場から、破産手続きの開始と、債務の免除を決定することで、債務者に立ち直るきっかけを認め救済する制度です。
手続きは大きく分けて、破産申し立てから破産手続き開始の決定までの「破産の申立て」と、免責の申立てから免責許可決定の確定までの「免責の申立て」の2段階の手続きからなります。また途中、破産手続き開始の決定から、債務者の財産の有る無しで一部手続きが違ってきます。
自己破産するとどうなる?
自己破産すると法律上の制約を受けることになります。公法上の資格制限(いわゆる「士業」と呼ばれる弁護士などの資格を一定期間失う)、私法上の資格制限(成年後見人などになれない)、破産管財人が就く場合には財産管理処分権を失うことになります。また、官報に掲載され、信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録され、クレジットを利用できなくなります。
申立人の行うこと
申立人は、まず自分の財産についてと、月々のお金の入出金を把握しておくことをおすすめします。後ほどご説明する裁判官との面接でも、そのあたりの質問を受けることがあるからです。
また、申立書や関連書類の作成を行い、裁判所からの審尋の呼び出しに対して裁判所に出向き裁判官と面接します。
弁護士の利用について
これら申立て書類はご自分で用意・作成できますが、法律に詳しくなく一人で申立てが不安な方は専門家である弁護士に相談し依頼することができます。
弁護士を利用することのメリットの一つには、弁護士に依頼した場合には弁護士が破産申立済の通知を出すことで、申立前でも貸金業者からの取立行為が一切なくなることです。また、委任状の出状により、破産申立ての審尋に弁護士を代理に立てることができます。
柏市近辺の弁護士事務所は?
○まず、千葉県の弁護士が加入する千葉県弁護士会をご紹介します。
千葉県弁護士会(クレジット・サラ金法律相談)
043-227-8581
(平日10時~11時30分、13時30分~16時)
*相談は、原則として予約制です。事前に電話でお問い合わせください。初回30分程度の相談料は無料です。ここで自己破産を専門とする弁護士を紹介してもらうとよいでしょう。
○柏市での申立てに対応してくださる弁護士事務所を5件ご紹介します。いずれも相談料無料です。
千葉県柏市中央1-1-1 ちばぎん柏ビル5階
0120-682-004
②弁護士法人心 柏駅法律事務所
千葉県柏市柏4-2-1 柏ビル3階
0120-743-014
③弁護士法人東京スカイ法律事務所 西船橋支店
千葉県船橋市印内町603-1 田中ビル723
0120-455-032
④やよい共同法律事務所
東京都港区虎ノ門2-5-21 寿ビル7階
0037-6030-38731
⑤弁護士法人みずき 東京みずき法律事務所
東京都中央区京橋1-1-5 セントラルビル12階
0120-120-246
*弁護士とは相性があります。相談料無料ですのでお会いして担当弁護士の人柄や自分との相性を確かめて判断されることをおすすめします。また、弁護士への費用は着手金と報酬金がかかります。その際に率直に、かかる費用の相談もされることをおすすめします。
自己破産手続きの流れ
それでは自己破産手続きの流れを、1から6に順を追ってご説明します。
1.必要書類の準備
自己破産の申立てには以下の各種書類が必要になります。
申立てに必要な書類(千葉の場合)
必要書類について、千葉地方裁判所の自己破産申立て提出書類チェックリストからご紹介します。(「写し」とないものは原本を提出します。)
○共通提出書類
- 標準提出書類チェックリスト(ホームページ千葉書式からダウンロード)
- 債権者あて名シール(債権者1名に付き1枚)
- 送達場所あて名シール3枚(窓口申立て場合は2枚)
- 破産・免責申立書(ホームページ千葉書式からダウンロード)
- 住民票(世帯全員のもので、本籍地の記載があり、マイナンバーの記載のないもの。申立て3カ月以内に発行されたもの)
- 委任状(弁護士申立ての場合)
- 「負債資料の取り寄せ状況」(本人申立ての場合のみ)
- 各債務の引き直し計算書/取引履歴の写し(本人申立ての場合のみ)
- 家計表(ホームページ千葉書式からダウンロード)
- 債権者一覧表(一般用)(ホームページ千葉書式からダウンロード)
- 債権者一覧表(公租・公課)(ホームページ千葉書式からダウンロード)
○財産目録記載事項の疎明資料
- 預貯金 ~過去2年分の預貯金通帳の写し(申立て直前に記帳)、(通帳に一括、おまとめの記載がある場合)取引明細書の写し
- 退職金 ~見込額がわかる資料の写し(退職金支給規定等)
- 貸付金 ~借用書、請求書、判決正本等債権の存在を示す書類の写し、回収不能の場合は、その理由がわかる書類の写し
- 積立金 ~積立金に関する資料の写し
- 保険 ~保険証券/保険証書の写し、保険解約返戻金の有無・金額等がわかる資料の写し
- 証券 ~有価証券の時価がわかる資料の写し
- 自動車・バイク ~車検証/登録事項証明書の写し(申立て3カ月以内に発行されたもの)、自動車・バイクの見積書(時価がわかる資料、初年度登録から5年未満の場合)の写し
- 不動産 ~全部事項証明書(申立て3カ月以内に発行されたもの)、不動産登記簿謄本(申立て3カ月以内に発行されたもの)、オーバーローンの上申書、ローン残高証明書の写し、固定資産評価証明書(申立て3カ月以内に発行されたもの)
- 高価品 ~現在の評価額がわかるものの写し
- 受領・処分した財産 ~処分したことがわかる資料(契約書・領収書など)の写し
(過去2年間に不動産を処分した場合)不動産の全部事項証明書原本(申立て3カ月以内に発行されたもの)、登記簿謄本(申立て3カ月以内に発行されたもの)
(過去2年間に退職金を受け取った場合)退職金支給額がわかる資料の写し
(過去2年間に保険を解約した場合)受領した保険解約返戻金に関する資料の写し
○陳述書(弁護士申立ての場合は報告書)と記載内容の疎明資料
- 陳述書
<収入に関する資料>
- 源泉徴収票の写し/課税証明書/非課税証明書
- 給与明細書の写し(直近2か月分)
- 受給証明書(生活保護、年金、失業保険、児童手当等)
- 税金申告書の控え(直近2年分)
<住居に関する資料>
- 賃貸者契約書の写し/住宅使用許可証の写し
- (親族所有家屋に住んでいる場合)不動産の全部事項証明書原本(申立て3カ月以内に発行されたもの)、登記簿謄本(申立て3カ月以内に発行されたもの)
*以上、書類を見て頂くとお分かり頂ける通り、申立人自らを証明する書類や、申立人の債務および財産の明細を説明する書類が並んでいます。特に今後の審尋で質問がある申立人の債務については、書類を作成しながら少なくとも債権者の数と債務の総額は把握し覚えておくことをおすすめします。
*「申立て等で使う書式例(千葉)」のリンクを貼ります。ここからダウンロードしてお使いください。全国共通の書式例もあります。
http://www.courts.go.jp/chiba/saiban/tetuzuki/syoshiki/index.html
申立てを行う地方裁判所は?
柏市にお住まいの方は、千葉地方裁判所 松戸支部に申立てを行います。
○千葉地方裁判所 松戸支部の所在地
千葉県松戸市岩瀬無番地
4階の「破産再生係」に提出します。
窓口の営業時間は電話にてお確かめください。
047-368-5142
http://www.courts.go.jp/chiba/saiban/madoguti/index.html
*提出書類とともに、申立書に押印した印鑑(認印可)を持参してください。
申立てにかかる費用は?(千葉地方裁判所「申立人に対する説明書」から)
○申立手数料 1,500円(収入印紙で用意)
○債権者あての通知費用 1,230円分(82円×15枚、債権者数が12名まで)、
債権者数が12名を超える場合は、82円×(債権者数+3枚)になります。
○予納金 ~裁判所に破産手続きをしてもらうための費用です
(破産管財人の選任が不要な場合)10,584円
(破産管財人の選任が必要な場合)20万円から50万円程度(財産の額によって増えることもあります。)
2.破産の審尋
申立書と関連書類を提出した後、1~2か月後に裁判所にて審尋が行われます。呼出期日は裁判所からあらかじめ指定してきます。当日、申立人は出頭カードに署名して呼び出されるのを待ちます。審尋は、裁判官と面接し、どうして自己破産したいかなどの質問を受けます。質問は10~15分間で、支払不能に陥った理由や状況、債権者数や借金総額、債権者一覧以外から借入をしていないかなどを聞かれます。この審尋でのポイントは、自己破産を申し立てるための原因(破産原因)となる支払不能の状態にあるかが重要になります。少なくとも債権者の数と借金の総額ぐらいは覚えていくようにしてください。
当日持っていくもの
○申立書コピー
○印鑑
○筆記用具
○身分証明書
なお、弁護士に手続きを依頼した場合には委任状により、債務者本人は裁判所に行かなくても済みます。
3.破産手続き開始の決定
審尋から約1週間以内に破産手続きの開始の決定が出ます。ここから財産の有る無しで手続きが変わってきますので注意してください。
全く財産がない場合 ~同時廃止
財産が少なく、破産手続きの費用さえも十分に払えないような場合には、はじめから破産管財人を選出せずに、破産手続きの開始と同時に手続きを終えてしまうため同時廃止と言います。
一定以上の財産がある場合 ~管財手続き
破産管財人が選任され、追加の予納金(最低20万円)を裁判所に納めます。その後、債権者集会、債権確定、財産の売却処分、配当を経て破産終結決定までに免責の申立てをします。
○一定以上の財産として扱われるものは?
- 99万円以上の現金
- 銀行口座に残された20万円以上の貯金
- 20万円以上の価値があるとみなされた自動車
- 20万円以上の解約金がある生命保険
- 20万円以上の価値があるとみなされた株券など
- 破産者名義の土地や建物
- 退職金に裁判所の定めた利率を掛け20万円を超えた場合の金銭
4.免責審尋
同時廃止の場合
同時廃止決定から約2か月後「免責手続き」が開始されます。この免責手続きを終えることで初めて借金の支払い義務が停止します。
免責審尋は、裁判所から指定される日時に裁判所へ行き裁判官と面接を行います。
免責審尋でのポイントは、免責不許可事由がないことが重要になります。
当日は、陳述書に書かれた内容を中心に、免責不許可事由があるかどうかを調査するための口頭質問を受けることになります。
これで申立人が破産手続きとしてやるべきことは全て終了となります。
管財手続きの場合
免責審尋の時点で免責の不許可事由が見つかると、債務者も出席しなるべく1回の面接で終えられるよう管財人面接が行われます。財産隠しなどが発覚した場合には何度でも面接が行われます。
5.免責許可決定
免責審尋から約1週間以内に裁判所から「免責許可決定」が出ます。これによって借金の返済を裁判所から免除されることになります。
また、このタイミングで官報に自己破産者の情報として、住所・名前が掲載されます。
6.免責許可決定の確定
免責許可決定から約1~2か月後、免責許可決定が法律上しっかり確定した状態となります。すなわち完全に借金を返済する必要がなくなります。
今後は、破産手続き開始から就くことができなかった職(例えば士業や警備員、保険外交員など)に就けるようになります。
以上が自己破産手続きの流れになります。
まとめ
自己破産手続きのポイントは、ご自分の債務の状況を把握し、裁判官に説明しやすい資料を作り、審尋ではうそのない本当の事実を明らかにし誠実に対応することです。
場合によっては、専門家である弁護士の助けを借りつつ手続きを行うことをおすすめします。
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